協定書vs説明パンフレット


 次の表は、「特別区設置協定書」と「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」の内容を比較したものです。

 「特別区設置協定書」の列の(A)~(E)は、「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」にはあって「特別区設置協定書」には無い項目です。これらの中で、(A)と(C)と(D)は問題があります。

 

(A)大阪市長橋下徹による「特別区設置協定書」について
 説明パンフレットの最初の2ページに、なぜ協定書を提案したのかという市長の考えが書かれています。このような市長の考えは、もちろん協定書には書かれていません。

 

(C)各特別区の長期財政推計[粗い試算]
 説明パンフレットの26ページには、平成29~45年度の17年間で累計約2,762億円の財政効果がある(出典:第17回大阪府・大阪市特別区設置協議会)と書かれています。しかし、この約2,762億円は
 ・地下鉄民営化等の特別区設置とは関係がない効果も含んでいる
 ・反対派を排除し出席者全員が維新である第17回協議会で出た額である
という問題のある額で、特別区設置協定書にはもちろん記載されていません

(D)みなさんからよくある質問にお答えします
 p.31の最初の質問は「特別区になっても住民サービスは維持されるの?」ですが、これの回答が「現在の大阪市の住民サービスの水準は維持することとしています」となっています。「~することとしています」という表現は、実際は「できるかできないか分からない」と同じ意味ですが、ここでは「維持できる」という印象を持たせる表現になっています。

 

 そして、薄いオレンジ色の部分「税源の配分・財政の調整」にも問題があります。次の図は、説明パンフレットp.19の一部です。

 この部分の説明文(説明パンフレットについては大阪市は音声読み上げデータを公開しており、その説明文のことです)は、次のようになっています。

特別区と大阪府に配分する財源は大阪府の特別会計で管理し、その配分割合(大阪府の条例で定める割合)は、特別区の設置後3年間は毎年、その後は概ね3年ごとに大阪府・特別区協議会(仮称)〔P25参照〕で検証します。

みなさんに納めていただく大阪府税のうち財政調整財源である法人市民税、固定資産税、特別土地保有税、および目的税である事業所税、都市計画税は大阪府の特別会計の歳入となります。
また、国からの地方交付税も同様に大阪府の特別会計の歳入となります。
大阪府の特別会計で管理される財政調整財源、目的税、地方交付税はその一部が大阪市から移管した事務に使用するため大阪府の一般会計に配分されるとともに、各特別区の税収格差を是正するため、大阪府・特別区協議会(仮称)で協議のうえ特別区財政調整交付金、目的税交付金として北区へ配分されます。なお、湾岸区、東区、南区、中央区も同様となります。

 このように、大阪府の特別会計という言葉が何度も説明文に出てきますし、上の図にも書いてありますが、「特別区設置協定書」には大阪府の特別会計という言葉は一度も出てきません


(最終更新:2016年5月7日)