《このページでは、ひとバラ(大阪はひとつになってバラバラになる)さんが作られた画像をたくさん利用させて頂いております。》
1.特別区の設置とは?→ 大阪市を廃止し5つの特別区に分割することです。「都構想」とは関係ありません。また、特別区は、都市計画の決定権を持たず、地方交付税交付金を国から直接受け取る権限も持ちません。
この住民投票は、いわゆる「大阪都構想」の是非を問うものではなく、「大阪市を廃止して特別区を設置すること(厳密には特別区設置協定書)」の是非を問うものでした。
特別区設置協定書に基づくと、賛成多数の場合は、大阪市は廃止されて5つの特別区に分割されます。
賛成多数の場合、大阪市はなくなります。
特別区は、用途地域など都市計画の決定権をもたないため、村未満の権限しかもたないと言えます。
この件は、第189回国会地方創生に関する特別委員会第5号(平成27年5月15日)において、宮本岳志議員が取り上げられました。このときの質問と、時澤・橋本政府参考人の返答は次のとおりです。
つまり、一般市であれば行う事務のうち特別区がやらないものは、下水道の整備、管理に関する事務、用途地域等に係る都市計画の決定に関する事務、消防、救急に関する事務で、特別区は到底一般市以上とは言えません。また、一般市はもちろん、どんなに小さな村でも、地方自治体は国から地方交付税交付金を直接受け取る権限を持っていますが、特別区になればそれすらありません。特別区は、一般市以下の半人前の自治体と言えます。
財源活用可能額(累計)は、大阪市を細かく分割すればするほど減少します。つまり、特別区に分割せずに大阪市のままにしておくと、財源活用可能額(累計)は最も多くなります。
投票用紙にも問題がありました。投票用紙には「大阪市における特別区の設置についての投票」と書いてありましたが、「大阪市を廃止し、特別区を設置することについての投票」と書くべきでした。
議員定数は、東京都の場合、東京23区が東京都全体の約7割を占めますが、大阪府の場合、5つの特別区は大阪府全体の約3割のみです。大阪府議会で、特別区の意見が他の市と異なった場合に特別区の意見が通る可能性は低いと言えます。
2.特別区の財政は大丈夫?→実は、特別区の自主財源は1/4になってしまいます。大阪府が財政調整して戻ってくるものもありますが、全額戻る保証はありません。
特別区の自主財源は「個人市民税」「たばこ税」「軽自動車税」のみとなり、1/4になってしまいます。
この件は、第189回国会地方創生に関する特別委員会第5号(平成27年5月15日)において、宮本岳志議員が取り上げられました。このときの質問と、平嶋徳田政府参考人の返答は次のとおりです。
特別区の自主財源は1/4になり、多くは一旦大阪府に入ります。大阪府がそれを5つの特別区に配分し財政調整することにはなっていますが、全額(仕事に対応した全額)が戻ってくる保証はどこにもありません。
このことは、自由民主党大阪市会議員団HP(次の図)にも書かれています。
3.2つあれば二重行政?→ 実は、両方必要である場合が多いのです。
大阪市立中央図書館と大阪府立中央図書館があり、二重行政の例としてよく取り上げられますが、市立中央図書館は大阪市西区、府立中央図書館は東大阪市にあり、両方大阪市内にある訳ではありません。
この件は、第189回国会地方創生に関する特別委員会第5号(平成27年5月15日)において、宮本岳志議員が取り上げられました。このときの質問と、徳田政府参考人の返答は次のとおりです。
4.大阪市と大阪府があるから無駄な箱物ができる?→ 実は、2002年以降は無駄な箱物建築物は造られていません。
確かに2001年までは結果として無駄と思える建築物が造られましたが、2002年以降は造られていません。また、2001年までに造られた物も、大阪市と大阪府があるから造られたのではなく、失敗した事業例であると言えます。
5.効果額はいくら?→ 実は、たったの1億円しかありません。
「特別設置協定書について(説明パンフレット)」には17年間で2,762億円(長期財政推計)と書かれていますが、これは粗い試算である上に、地下鉄民営化等も含まれており、純粋に特別区を設置した場合の効果額ではありません。大阪維新の会のチラシには4,000億円という額も出て来ていますが、水増しされた2,762億円よりもさらに大きく信頼性がありません。
6.橋下市長が大阪市の借金を削減?大阪府市の財政状況は?→ 実は、大阪市はまだ借金はありますが、關市長以降年々減らしてきています。橋下市長だけが減らしたのではありません。また、大阪府の借金は橋下知事以降も増えており、既に起債許可団体になっています。
大阪府の借金は橋下知事以降も増えています。
大阪府の借金が橋下知事以降も増えているのに対し、大阪市の借金は關市長以降着実に減っています。
「橋下市長が大阪市の借金を削減した!」と維新の説明には出て来ますが、大阪市の借金のピークは平成16年度で、それ以降、關市長も平松市長も橋下市長も減らし続けています。橋下市長だけが減らしたのではありません。
大阪市の財政状況を説明する際に、何故か橋下市長は市民一人当たりの負担額(負債残高)で東京都と比較し、「大阪市民は東京都民の3倍負担している」と説明しました。しかし、都道府県や市町村の財政状況は、実質公債費比率で示すことになっており、大阪市の値は五大市と比較すると良好です。悪いのは大阪府で、既に起債許可団体になっています。
7.教育費を5倍にした?→ 実は、橋下市長が力を入れた政策的予算が5倍になっただけで、子ども青少年教育費は増えていません。
8.賛成多数なら住所はどうなる?→ 住所は変わります。例えば、大阪府大阪市○○区△△ は 大阪府□□区○○△△ に変わります。そして当たり前ですが、役所内のデータ以外は自分で住所変更の手続きをする必要があります。
9.大阪府の有効求人倍率は改善した?→ 大阪府の有効求人倍率が改善したのは事実ですが、より改善した東京都と愛知県を記載していません。また、グラフの縦軸の目盛りがおかしいです。
10.東京23区長・19政令指定都市の市長は都区制度・特別区をどう思っているのか?→ 実は、東京23区長で満足しているのはたった一人(回答者17人)、大阪市以外の政令指定都市の市長で特別区を設置したい人は誰もいません。
東京23区長(回答17人)で都区制度に満足している人はたった一人、満足していない人は15人もいます。また、都区の税配分に満足していない人は16人で、全員が特別区の権限を拡大したいと思っています。
共同通信社が、大阪市を除く19政令指定都市の市長に「市の廃止・分割(いわゆる都構想)をやりたいかどうか」を尋ねたところ、やりたい人は誰もいませんでした。
11.市長報酬をカットしたのか?→ 確かに、市長報酬をカットしました。しかし「公務日程なし率」が異様に高く、また特別顧問・特別参与を大量に雇い勤務実態不明の特別秘書も雇うことで余計な支出が発生しました。
市長報酬はカットしましたが、「公務日程なし率」は平均42%で、市長としての仕事もカットしました。また、特別顧問を17名、特別参与を48名も雇用(2015年10月17日時点)し、さらに勤務実態不明の特別秘書も雇用し、余計な支出が発生しました。
橋下市長の「公務日程なし率」は、2012年は36%、2013年は41%、2014年は44%、2015年は49%と非常に高く、特に選挙・投票のあった月は80%になるときもありました。
(次の図は、ひとバラさん作成の図を元に2015年10月~12月のデータを追加したもので、一部改変しました。)
12.市営地下鉄の殆どが大阪市内でストップして不便なのか?→ JR・私鉄に乗り換えることで様々な方面に鉄道で行くことができます。大阪に住む人で、相互乗り入れが少なくて不便だと思っている人は先ずいないでしょう。
大阪は私鉄も発達しており、JR・私鉄に乗り換えることで様々な方面に鉄道で行くことができます。大阪に住む人で、地下鉄が相互乗り入れが少なくて不便と思っている人は先ずいないでしょう。
ところで、賛成派は次のような地下鉄路線図(大阪維新の会HPより)を出して不便だと説明していました。
しかし、この路線図には例えば次のような多くの間違いがありました。
大阪市内なのに市外になっている:井高野、鶴橋、今里、蒲生四丁目、住之江公園、安孫子、南巽
大阪市内にはないのに市内になっている:千里中央
大阪府内なのに奈良県になっている:門真南、八尾南
鶴見緑地線が奈良へ伸びている
鶴橋が環状線から飛び出している
まだ存在しない北梅田は書いてあるのに、存在する東梅田は書いていない
相互乗り入れしている所は書いていない:堺筋線と阪急、中央線と近鉄
阪和線の方向がおかしい
堺が南過ぎ
私鉄の南海、近鉄、京阪の路線を書いていない
13.東京都の借金が少なく大阪府市の借金が多いのはなぜ?→ 東京都は、企業・人が集まったため財政的に豊かになりました。
東京都は、企業・人が集まったため財政的に豊かになったのであり、東京都と特別区という都区制度があるから豊かになったのではありません。このことは、吉村市長自身が2016年10月14日にツイッターで呟いておられます。つまり、大阪市を廃止し5つの特別区に分割すれば豊かになるのではありません。
14.反対派は対案を出さなかったのか?→ 賛成派の「大阪市を廃止する」に対する反対派の返答は「大阪市は廃止しない」でした。
「あなたの家を潰します」と言われたとしたら、その返答は「家は潰しません」で十分なはずです。「潰すのは半分にして下さい」とか「隣の家を潰しましょう」とか対案を出す必要はありません。
15.スーツの支給・カラ残業・ヤミ年金・裏金作りなど職員厚遇の問題があったのか?→ 確かに、以前はこのような問題がありました。しかし、全て過去の話です。
制服として職員にスーツやシャツを支給したり、カラ残業、ヤミ年金、裏金作りなどの問題が1990年代~2000年代にありました。しかし、2003年12月に市長に就任した關淳一氏がこれらの問題を全てなくしましたので、現在このような問題は存在しません。全て過去の話です。
16.政府は都構想をバックアップするのか?→ 総理は「住民投票で賛成多数となれば、必要な手続きは進める」と言っただけでした。
この件は、第189回国会地方創生に関する特別委員会第5号(平成27年5月15日)において、宮本岳志議員が取り上げられました。このときの質問と、石破国務大臣の返答は次のとおりで、総理は「住民投票で賛成多数となれば、政府として必要な手続きは進める」と答弁したにすぎませんでした。
17.特別区を設置すれば淀川左岸線がつながるのか?→ 実はまだ特別区を設置してはいませんが、2016年11月25日に大阪府と大阪市は淀川左岸線延伸を決定しました。
別に特別区を設置しなくても、2016年11月25日に大阪府と大阪市は淀川左岸線延伸を決定しました(画像は産経新聞の記事より)。つまり、特別区の設置と淀川左岸線延伸は何の関係もなかったということです。
18.大阪市は収支不足額が増え続けて財政破綻しそうなのか?→ 実は、大阪市は単年度黒字です。財政破綻しそうにはありません。
大阪市財政局の資料の中に、収支不足があることを示すグラフがありますが、収支不足がある場合、補填財源を活用して赤字にならないよう収支を均衡させることになるため、大阪市の場合、最終的には単年度黒字になっています。それを、累積すべきではない収支不足額を累積して、大阪市は財政破綻しそうだと説明するのは間違いです。
19.大阪市を廃止して特別区を設置しなければ解消できない二重行政はあるのか?→ ありません。松井知事は府議会でこの質問されましたが答えることが出来ませんでした。
以下は、大阪府議会平成24年9月定例会の一般質問での松井知事と花谷議員とのやり取りです。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
花谷充愉君 …知事、市長は、二重行政解消のために都構想が必要と主張されていますが、自民党が大都市制度推進協議会で質問した大阪市が消滅しなければ解消できない二重行政は何かについて、正面から答えていません。我が会派の質問に対し、知事は、現在、私と橋下市長が同じ価値観を持っているが、人がかわれば連携が難しくなる、また新たな大都市制度でなければ、将来にわたって二重行政の発生をもとからなくすことはできないなどと、大阪市がなくなれば新たに二重行政が生まれないようになるとの答弁に終始しています。それは、当たり前の話であり、我々そのようなことを聞いているのではありません。
知事に改めてお伺いします。大阪都にしなければ解消できない二重行政とは、何ですか。
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) これは、もうすれ違いになりますね、花谷議員とは。
そもそも、僕が知事になる以前、橋下知事、平松市長のとき、この府市統合本部できましたか。できていない。(発言する者あり)……そういうこと言っているじゃないか。(発言する者あり)……じゃあ聞いてるなら、もうそもそも価値観が違います。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
花谷充愉君 あのね、あるかないか聞いてるんです。
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) そもそも、あったもんを今はなくしてます。
(発言する者あり)
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) 大阪都にしなければならないという、そういう考え方と違いまして、今までそもそも二重行政になってたじゃないですか。今は、府市統合本部で、二重行政と言われるようなものは、そもそもあったものを次から次へと変えていってますし、一本化できるものは一本化にしていっております。これができてるのは、今大阪市が橋下徹という市長で、僕が知事でありまして、これは同じ方向に向いている全く属人的な人間関係によるものですから、そもそもこれが違う人になれば、府市統合本部そのものが設置できない。できなかったのが、今までの大阪の状況です。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
花谷充愉君 今はないんですね。
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) だから、今一年でやってきてますよ。それは、やってきてるのはわかってもらってるんでしょう、いろいろと。今は、まだあります。だから、今府市統合本部の中で議論してます。一年でそれだけの答えを出すのは、大変です。まだ病院とか、それも今やってる最中です。すべてなくなるかいうたら、一年でできるわけないじゃないですか、長年やってきたもんを。そういうとっとっと揚げ足取りな質問はやめましょうよ。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
花谷充愉君 揚げ足取りちゃいますよ。大阪都、つまり大阪市を解消しなければなくならない二重行政を聞いてるんです。きちっと答えてください、あるかないんか。
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) 何なんですか、一体。今でもやってるじゃないですか、二重行政。今あります、二重行政は。それをなくすために(発言する者あり)……大阪市をなくさないともとへ戻ってしまう。大阪市だけなくなるんじゃないんです。大阪府もなくなるんです。新しい役所になります。
だから、二重行政や二元行政、これを変えていくというのは、それは了解されてるんでしょう。それを変えていくための制度をつくりたい。今までの役所の姿では変わらなかったというのは、これは認識されてますよね。そういうことを申し上げてるんですよ。(発言する者あり)……それ以上答える--どういうふうに答えるんですか。質問の仕方を考えてくださいよ。
副議長(岩下学君) じゃ、花谷充愉君、もう一回質問言って。
花谷充愉君 大阪市を消滅させないとなくならない二重行政は、何かと聞いてるんです。あるかないか聞いています。
副議長(岩下学君) 知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) 大阪市を消滅とか大阪府を消滅とか、そういう話ではありません。新しい行政制度をつくって二重行政をなくしたいと、こう申し上げてるんです。そもそも、大阪市と大阪府が双方存在することによって二重行政あったのは、ここにいらっしゃる議場の皆さん、みんなわかってるはずじゃないですか。何言ってるんですか、一体。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
(発言する者あり)
副議長(岩下学君) 記録をとめてください。
(記録中止)
副議長(岩下学君) 記録を始めてください。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後三時四十八分休憩
◇
午後四時十七分再開
副議長(岩下学君) これより休憩前に引き続き質疑質問を続行いたします。
知事の答弁を求めます。知事松井一郎君。
知事(松井一郎君) 改めて質問にお答えをいたします。
産業振興やインフラ整備などの面で大阪トータルの視点が十分ではなくて、府と市がそれぞれに施策を行ってきたために二重行政が生じてまいりました。このため、新たな大都市制度のもと、広域機能を一元化し、こうした状況を根本的に解消することで、将来にわたって二重行政の発生をもとからなくすことができると考えております。
副議長(岩下学君) 花谷充愉君。
花谷充愉君 全然答弁になってないんです。あるかないか聞いてるのに、将来にわたってとかね--現在のことを聞いてるんです。
我々は、大阪市という存在があっても、二重行政は解消できるやろうと、こう言うてるんです。だから、府市統合本部で今やっていただいてることは、評価してます。過去の歴史から二重行政が容易に解消できない、これはおんなじ認識なんです。だから、その解消のために、私たちは、広域戦略協議会でいいだろうと、大阪市があっても解消できると、こういうふうに主張してるんです。
そこで、大阪市がある限り二重行政はなくならないと言うんやったら、それは何ですかと、こう聞いてるのに、全然答えないわけです。そこは、よくわかっといていただきたいと思います。
だから、今の答弁では、大阪都にしなければ解消できない二重行政はないというふうに私は理解しています。また、機会があれば、どなたでも結構です、私たちにきちんと御説明いただいたらありがたいと思います。
時間の関係で、次にいきます。
(最終更新:2017年1月4日)